お歳暮を贈るマナー

お歳暮はもういらない風習なのか?

40年ほど前は、12月に入るころになると「そろそろお歳暮をどうしよう」と悩む家庭が多くあったものです。

しかし近年は、お歳暮文化が衰退してきていており、お歳暮を贈ったことがないという世代も多くなってきてしまいました。

お歳暮は1年間お世話になった方に感謝の気持ちを込めてギフトを贈る習慣です。それが発展していき、社会人が上司やお付き合いのある会社にお歳暮を贈るという人も多くいました。
しかし近年、お歳暮を贈ることを禁止する企業も増えてきています。

そうした中、様々な理由からお歳暮をやめようという働きかけがあったわけですが、そもそも人間関係を考えると、お歳暮を贈ることは悪いことではないはず。

お歳暮の起源

お歳暮の起源となったのは、先祖の霊を迎えてお供え物をして祀った、御霊祭りだといわれています。
このお祭りのときに分家となった家は、実家に対してお供え物を届けていたのです。
中身は正月を迎える時期ですので、新年に必要な食品を贈っていたとのこと。

現在では、さまざまな物が贈られるようになりましたが、日ごろの感謝だけではなく、一年間の感謝の気持ちを込めて贈るのがお歳暮の意味になりました。

こうした歴史を踏まえてみると、お歳暮というものがいかに人間関係を構築したり、相手の気持ちに寄り添ったり、縁やつながりへの畏敬の念が込められた重要な風習であるかということが分かってきます。

お歳暮のマナーを押さえよう

お歳暮には長い歴史があり、それを継承して行くためにはお歳暮のマナーを知っておかなければなりません。お歳暮を贈る相手に失礼があってはならないですし、両親や上司などに目上の人に贈るものなので正しいマナーをしっかりと守る必要があるでしょう。

お歳暮を贈る時期について

まずは、どのような時期に贈ればいいのか、ということから考えなければなりません。
起源を考えると、お正月に必要なものを贈るのがお歳暮であり、12月の半ばから贈るものだとされていました。
現在では、年末になると何かと忙しくなってしまうことから、12月の初めには贈るようにするのが一般的です。

どれだけ遅くても20日を目途にするべきですが、ときには間に合わないことがあるかもしれません。
そんなときには、1月6日に御年賀として贈る方法もあります。
1月6日は、松の内と呼ばれている期間の最後ですので、これをひとつの目途として贈るのもよいでしょう。

お歳暮ののし紙の選び方

お歳暮用の贈り物には基本的にのしを付けるのがマナーです。
そののしには「紅白の蝶結び」を採用します。
紅白の水引は慶事に用いられ、蝶結びは何度でも結び直せることから、何度も繰り返したい感謝の気持ちを込めています。

品物にのしをかけ、その上から包装紙で包む内のしと、包装紙の上からのしをかける外のしがありますが、はっきりとした決まりはありません。内のしはのし紙が汚れたり切れたりするのを防げますし、外のしはすぐに誰からのお歳暮かどうか、相手に伝わります。どちらを採用するかは地域性にもよるのでそこは確認してみましょう。

表書きに「お歳暮」と書き、水引の下にフルネームで名前を入れます。

喪中の場合について

送り先のの相手が喪中のときにはどうするのかということについて、困っている人もいるのではないでしょうか。
お祝いの贈り物であれば、喪中のときにはお断りしなければなりませんし、贈る側も十分に考慮する必要があります。

ですが、お歳暮はお祝いではありません。
あくまでも、日ごろの感謝の意を込めて贈るものであり、喪中であっても贈ることは問題にならないとされています。
これは、贈る側が喪中の場合でも同様です。

しかしそれでも、お正月にも近いことからどこか気持ちが引っ掛かることもあるかもしれません。その場合は、送り先の相手に連絡を入れ、了承を受けたうえで贈るれば、気持ちの問題もクリアできるはずです。

また、もう一つの手として、寒中見舞いとしてなら、お正月というお祝いの時期に引っかかることはないので時期をずらすという手もありますよ。

お歳暮の金額の相場について

関係性によってお歳暮にかける費用は異なりますが、一般的には3,000~5,000円くらいのギフトが相場と考えてください。

あまり高価なものを贈ると却って相手に気を遣わすことになりかねないのでこの金額くらいが妥当なところでしょう。

お歳暮を選ぶとき、大体この辺りの価格帯のギフトが多いのも特徴ですね。

お歳暮は続けて贈るもの

さてお歳暮を贈ることになったら、基本は途中でやめないことがマナーになります。

相手が亡くなったり、あえて贈らないでほしい旨を伝えられたりしたときには、向こうの気持を汲んで今後お歳暮を贈ることを辞めることを伝えましょう。

そういった特別な理由がないならば、毎年贈り続けるため、最初にお歳暮を贈るときよく考え、一生をかけて人間関係を築くべき相手か熟考しましょう。

もちろん、事情があり贈るのをやめなければいけなくなったときも、連絡をしてその理由を相手に伝えるようにしましょう。

お歳暮を贈るマナーまとめ

ネットコミュニケーションの発展による人間関係の希薄化は社会問題のひとつの要因とも言われています。

そのような時代において、お歳暮の風習を守ることは意義のあることなのではないでしょうか。

お歳暮を通してせっかく感謝の気持ちを贈るのですから、マナーには気を付けることが大切です。
ちょっとしたミスがトラブルに繋がることもありますので、想像力を働かせ、相手の気持ちを汲みながら、マナーにも気をつけて贈るように心がけてみましょう。